半島を出よ
一人一人の人生が交差するってのがうまく書かれてました。
たとえば、イシハラのグループに属する少年ヒノ、母親が住んでた家に毒が塗りこめらていると信じており、父を殺し、自分を殺そうとした。福祉施設にいれられたが、施設を放火などしてイシハラの元に来る。最後の重要な場面、高麗反乱軍に殺されるかも知れぬ状況で、workを続けながら、突然、母親が感じた恐怖を感じ、理解する。
反乱軍の2枚目スリョン、詩人であった父は、「読む側に立った詩をかけ」と遺言し、自殺のような死を迎える。芸術を専攻し、日本に来てから、「マスゲームこそが退廃だ、多数のために少数が犠牲になることこそ退廃だ」と、父は、「生き延びろ、権力を出し抜け」と教えてくれたのだと悟る。
赤坂の高級レストランとかは、私の想像外なので、こんなもんかな(^^ゞとか、イシハラが分かりにくいが、まー老荘、昔の福岡玄洋会、夢野久作の父とか思い浮かべれば、なんとなく想像がつく。
作者は、政治家、官僚、国民が、重要なことが少しも議論されず、政治家、勤勉な官僚が、細目だけは、きめ細かく動かしてゆく、現代の日本にいらだってるな~って感じがします。
まー、ある事態をつくりだすことによって、現在の姿が浮かび上がってくるって仕掛け。
イシハラの仲間だけが、それも、ヒノのような集団が、重大なworkをし、また、生き延びた仲間は、また、自由にやっている、すべては自由だ、、、。
イシハラの仲間は、多数派に組しない、人に良く思われたって、悪く思われたって、そんなこと気にしたってしょうがない、好きに生きて、それで、あえばいいし、あわなくてもしょうがない、、、そんな思いを確認させてくれる。
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コメント
>多数派に組しない、人に良く思われたって、悪く思われたって、そんなこと気にしたってしょうがない
それが彼のいうところの「モジョリティ(マジョリティ)」なのですかね? わざとこんな表現にするあたり、心憎くてしかたありませんね。
投稿: あかん隊 | 2005.06.14 04:26