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2005.12.29

悲劇週間

矢作俊彦 文芸春秋社 2005-12-15

明治28年、朝鮮王妃閔妃を殺害しているのだ、日本人は。
そのとき、外交官として関与して、獄にいれられたのが、その後許されて、また、外交官となる堀口大学の父。(祖父は、父が3歳のとき、長岡戦争で死亡)

のちにメキシコ公使をつとめる。メキシコでは、デモクラシーを唱えるマデロ大統領の時代。
このマデロ大統領が、クーデターで失脚する、2月9日から2月24日までが日記体で、後半かかれている。

前半は、与謝野晶子門下となり、佐藤春夫と遊びを覚えたり、「なんじょ思われます、あの判決?」と大逆事件の判決の感想を鉄幹に聞く、石川啄木なんかも書かれている。

西南戦争に、薩摩藩士に恨みをもつ、会津の人たちを警察官に採用し鎮圧にむかわす。
ぶっそうな時代だったんだ、明治は。だって、ついこの間まで、内乱状態だったんだ、日本は。

マデロ大統領の家族を大使館に匿い、奔走する父、マデロ大統領の一族につらなるフエセラに恋する大学。ところどころに、ランボーの詩が引用される。
メキシコの戦場の内乱の現場をあるきながら、パリ・コミューンに参加し、アフリカの商人となったランボーに思いをはせる。大学のフランス語の先生は、五稜郭の戦いに参加したフランス元軍人。新撰組の斉藤一は、西南戦争に参加していたことをこの本で知る。

「明治45年 僕は20歳だった」で始まり「あのころ僕は20歳だった」で終わる、この小説は。(ポール・ニザンの「あのころ僕は20歳だった」を思い出します。)

(と、今回、倒置法をつかってますが、この小説のまねです)。

クロード・モネの「日傘の女」が本のカバーにつかわれてます。日傘をさす洋装の婦人の横に、ポケットに手を突っ込み、帽子をかぶった少年。この少年のように、主人公は、孤独だ。矢作さんの文章って、リリシズムがあふれていて好きだ。

読み終わった後、戦争は、「政治」の延長、軍隊をつかった「政治」といってもいいけ、つくづく思う。これは、過去の物語ではない、現在、戦争が行われている、いまも、戦争なのだ、と気がつかせてくれる。外国がどう動くかを、行動の関数にいれておかないといけないということも。

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