「ショット・バーの女」ショート・ショート
俺は、相方とショット・バーにいた。打ちっぱなしの壁。むんむんとする夏か、人の熱気がなければ、廃墟みたいな店だ。
向こうのカウンターに、フリルのシャツを着た女がいる。
うん?
俺は、城山高校卒業、昭和30年生まれだ。卒業後同窓会は、3年に一度開かれているらしいが、俺は、平成になるまで出たことはない。ちぇ、懐旧の情なんてくそくらえだ。ところが、昨年、何を思ったか出た。そこで、見た女に似ている。女は、男達を回りにあつめていた。その女だ!と俺は思い出した。
俺「あの、むこうにいる人、同級生みたいだ」
相方「挨拶してきたら」
俺「でも、ちがってるかもしれん」
相方「でもさ、今、挨拶しておかないと、もう、一生会われないこともあるのよ」
俺は、相方の言葉に押されて、女の横に立っていた。
俺「昨年の同窓会で会いませんでしたか?」
女「?」
俺「城山高校昭和49年卒なんですけど」
女「私は、もっと、おそい卒業ですわ」(しつれいなと、女の目が言っている)
俺は席に戻った。
相方「だめじゃない」「知らない女の人に声かけるもんじゃないのよ」
俺の人生ののろわれた夜のひとつだ、その夜は。
2年後、また、俺は、同窓会にいた。グラスをもった女が俺に近づいてきた。
俺「??」
女「いつか、ショット・バーでお出会いしましたわね」女は艶然と笑った。
俺の中で、「正直者は報われる」という格言がぶっ飛んでいった。
(一度みほさんちで書いた物語を、再構成してます(笑))。
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コメント
悠さん、こんにちわぁ~
コメントありがとうございました。
後で、あちらのURLコメント削除しておきますね。
あのコメント欄の話がスッキリ整理されて、分かりやすい~!
でも・・・なんだかカッコイイ話に生まれ変わっている気がするのは、気のせいでしょーか?(笑)
そんなこと言ったら“あかん”ねん?
この関西弁なら舌かまずに読めます^^v
投稿: みほ | 2006.04.27 13:28
みほさんの言うように、
筋は同じなのに、なぜだかカッコイイ話に生まれ変わっている気がしますね(笑)。
関西弁と標準語の違いのせい??
言葉って不思議ですねぇ。
投稿: ゆっこ | 2006.04.27 17:35
■みほさん、こんばんは。
関西弁バージョンはみほさんち@HPに書いてます。
関西弁バージョンの方が面白かったですよね(笑)。
(読んでやろうという方は「たつんだ杏ちゃん」のコメント欄をたぐってくださいまし。)
http://blog.goo.ne.jp/hellocafe/e/34bb7aaad263a3a954b0d7ab1db4f482
■ゆっこさん、こんばんは。
だって、だって、こっちは、創作ですもん(笑)。俺の年齢も若くしてあるし、一応ハードボイルドだし(爆)。
投稿: 悠 | 2006.04.27 19:01