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2006.10.26

放浪記

カーテンコールの幕があがる。舞台には林芙美子@森光子がお辞儀をしたまま座っている。
ゆっくりと体をおこし、右手をあげて、2階席、下げて1階席の客に挨拶をする。左手、同じ。
能の所作のように、ゆっくりゆっくり。
あー、この人にとっては一期一会の舞台なんだ、私も、もう、みられないかもしれない。。。。

この姿だけがのこるのではないかと思うほど、印象に残るカーテンコールだった。
「太鼓たたいて笛ふいて」@井上ひさしの林芙美子も印象に残るが、林芙美子の評伝としては、この「放浪記」の方がよくできていると思う。

印象に残るのは、尾道の実家に帰った芙美子の前に行商人夫婦、子を登場させ、芙美子の幼少時を再現するやりかた、すぐその後、因島の初恋の人=一緒に東京に駆け落ちするが、親に言われて実家に戻り結婚している、芙美子が尋ねてきたので、もう、来ないでくれ、といいにくる場面

それと、功なり名をとげた芙美子のもとに訪れてくる客のあしらい
秘書「ボランティア団体の方が寄付をと」
芙美子「一人で、何人もたすけられないわ、団体の方のお給料になるだけだからとお断りを」
秘書「お父さんの実家の親戚の方がお父さんのお話を聞かせたいと」
芙美子「私が貧乏なときにお会いしたかった、と、お断りを」

川端康成が、芙美子の葬儀委員長をつとめ、その挨拶で「林女史は、いろんな方に御迷惑をおかけし。。。」旨述べたと、どこかで聞いたことがある。いやな面も含めて、芙美子の作家のありようはきちんと書かれている、そんな舞台でした。

有森也実さんが、カフェの同僚として出ていましたが、有森さんの芙美子でみたい芝居かもです(^^ゞ。

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コメント

>この人にとっては一期一会の舞台なんだ、

舞台って、そうなんですよねぇ~。(シミジミ)
だから、少しでも興味があるものは、なるべく見逃さないようにしてるんですけど
この『放浪記』はまだ未見です(苦笑)。
杉村春子さんのブランチも、歌右衛門も見ていない~~~(泣)。
先日亡くなられた人間国宝の玉男さんの舞台は1度だけだし……。
(しかも物語の大詰めで、私は爆睡してました。汗)
森さんの『放浪記』と雀右衛門の舞台は見なくちゃ!!ですねぇ。

それにしても、
>「私が貧乏なときにお会いしたかった、と、お断りを」
めちゃめちゃ、リアルな台詞ですね。

投稿: ゆっこ | 2006.10.27 11:39

■ゆっこさん、こんばんは。
私も、歌右衛門、杉村さん、玉男さん、みてないのですよ、でも、限りアル時間だからしかたがないって思ってます。
見といて、もうみられないってのは、大地喜和子さん@美しきものの伝説くらいですかね(^^ゞ
>貧乏ななときに
は、は、は、あれは、菊田一夫@斉藤さん・黒テントが見えている座敷での会話で、「あなた、私を薄情だとお思いになる」って問いかけが後に続きます。
「私は、書いているとき、登場人物が私のことを思ってくれて、孤独じゃないの。。。。。」実生活で、幸せな人の会話ではないですよね、胸に迫りました。

投稿: 悠 | 2006.10.27 23:19

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