怪談@映画、ショートショート
夢の中でおいらは、深川に身をひそめ、小唄なんぞを、豊志賀師匠にならっている。
師匠の元に「新」ってな奴がでいるするようになって大分たつ。
新ってやろうは、ひどい野郎で、師匠が病んでいるのに、看病もしやがらねぇ。師匠は、今はのキワに、「新が一緒になった女は、必ず殺す」と書き付けなさった。
おいらは、このテーゼが気に入って、師匠に味方することにした。
まず、お久、こいつは、師匠、夫婦祝言あげる前にやっちゃいましょ。
お累、師匠、こいつは、新としあわせに夫婦になって、子供までできて、幸せってなころにやっちゃいましょうぜ。
つぎは、お賤、師匠こいつは悪だから、新も、こいつを夫婦にならせ、悪をしみこませ、賤が心変わりして、善人になろうって、瞬間にやっちゃいましょう。
(真景累ケ淵にはそうなってるんですけどね、師匠)。
ところが師匠、いつの間にか、池の上に現れて、新のうつくしい顔をだいてなさる、え、師匠くちずけなんぞは、やめましょうぜ、サロメじゃないんですから。
師匠、日和っちゃいけませんぜ。
まだ、まだ、新のやろうをいたぶって、師匠のテーゼどおり、やりやしょうぜ。
っていったら、おいらの隣がひいやりして、目がさめた。おいらは、師匠の小唄を聴きながら、ねてたみたいだ。
| 固定リンク
コメント
>悠さま
美男に生まれたばっかりに妄執の犠牲になった新さんがかわいそうと思うのは女性の視点でしょうか。なんか,女性は美しい顔に弱く,男性が気にするほど,身長や運動能力と違うそうです。
顔なんかついてりゃいいんだがツボでした。最後は顔だけにおなりでヨヨヨ。
さておき,病気の師匠をほっぽり出して若い女と逃げようったってそいつぁ悪い了見だ。
投稿: とみ | 2007.08.09 00:24
■とみさん、おはようございます。
やっぱり「顔」なんですよね。つい、最近、リーディング・サロメをみましたが、やっぱり、顔でした(笑)。
師匠は、36歳、新さんは、21歳。逆だったらよくあるんですよね。
投稿: 悠 | 2007.08.09 11:09
やっぱり「顔」でしょうか?(^^;) 「顔」だけをずっと側において置きたかったのかなぁ。「イケメン」もおじいちゃんになるのだから、ああなる方が目的に叶っているかも。「若い」ということだけでも十分に魅力的なことなのでしょうね。あまり構われたくない自分は、こうした女性の気持ちがよくわかりませぬ。
投稿: あかん隊 | 2007.08.10 22:41
■あかん隊さん、こんばんは。
>やっぱり「顔」でしょうか?(^^;)
原作はねぇ、それは、やっぱり因果がめぐって、結ばれたとあるだけなんですけどね。師匠39歳でした。これを強引に「愛情」物語にしたシナリオにほころびがでたんでは、って思ってるんですけど。
原作、とっかで、岩波文庫と書き散らしてますが、「中公クラシックス」でした。
投稿: 悠 | 2007.08.10 23:50